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MHバカ一代

MH2を中心にお送りしてきた放置系MHブログです。ただの愚痴から攻略もどきまで幅広く、そして薄っぺらにお送りしています。 MH4も参戦中!

物欲の果て

「おや。やっと来たのかね。子連れ君」
すっかり秋も深まり、風も肌寒く感じられ始めたとある日。私は久方ぶりにMH分析学の権威、T大の悶下煩多(もんした はんた)教授を訪ねていた。
過去、物欲センサにおける数々の謎を解明し、次のノーベル賞候補筆頭との呼び名も高い天才学者である。しかしながら、本人は相変わらずそんなことには無頓着のようで、ごちゃごちゃと資料の散乱した部屋の隅で寝そべりながら本を読みふけっていたようだ。
「随分遅いから、今回は来ないのかと心配しておったよ。」
私が部屋に入ると、教授は大儀そうに立ち上がりイスに腰掛けた。

教授には過去、あんなことやこんなことやこんなことで何度かお世話になっていた。

『すっかり、ご無沙汰してしまい申し訳ありません。お元気そうで何よりです。』
「君も元気そうだな。ま、つまらん挨拶はなしにして、本題に入りたまえ。」
教授は相変わらず仏頂面でそっけない態度であった。しかしながら、その口元にはうっすらと笑いが浮かんでいるようだった。
「といっても、君が私のところに来る用件と言えばアレしかないだろうがな。」
4度目ともなればすっかりお見通しのようだ。
『はい。ご迷惑かとも思いますが、また教授のお知恵をお貸しいただきたく伺った次第です。』



~~~~~~
教授は自分の分だけ淹れたお茶を熱そうにすすりながら話を進めた。
「さて、MH4だったな。今回もやっぱり出ないかね?」
『まぁ相変わらずです。今回も物欲センサは絶好調のようです。本当に欲しいものに限ってなかなか出ません。』
「ふむ・・・」
教授は引き出しから何か資料のようなものを取り出した。

「まあ。君がまた来るだろうと思って、実は既に今作における物欲センサの謎は解析済みなのだよ。」
『え?本当ですか?』
「うむ。今回は比較的単純なものだったのでな。」
全国300万人超のハンターを苦しめている物欲センサーの脅威を教授はこともなげに斬りすてた。
『で?今回はどんなセンサになってるんですか?』
「あんなに堂々と文字通り見られていて、本当に気がつかないのかね?3DSに正面についているインカメラ。あれこそが第1のセンサだ。」
『カ、カメラですか?』
「うむ。あのカメラにより、剥ぎ取り及び報酬の瞬間のプレイヤーの表情を撮像し画像解析することで、物欲の度合いを判定しているのだ」
驚いた。確かに今ではデジカメなどでも、笑顔を判定して自動でシャッターを切る機能があることは知っていたが・・・
これまで脳波のモニタによってあれほどの高精度を誇っていたセンサなのに、こんなに大きく方式を変更するとは。たかが表情だけでその人間の欲望の度合いを正確に判定することが可能なのか?

「もちろんだ。平常時の表情データを基準とし、剥ぎ取り時における「表情の変化」を「物欲の度合い」として判断するのだ。即ち・・・」
そう言うと、教授は立ち上がりホワイトボードに次のとおり書きつづった。

目 :獲物を狙うかのごとく細くなり、面積縦方向に減少。
瞳孔:開く。視線は一点を見つめる傾向あり。充血している場合は物欲5割増し。
鼻孔:膨らむ。鼻の穴の面積増に比例して物欲増。
口 :固く引き結んでおり歯は見えない。人によってはやや半開き。口端にヨダレが認められる場合は重傷(物欲8割増し)。
眉間:シワ増加。一本当たり物欲5%増加。

「このとおり、表情一つとっても欲にまみれたときの人間の表情にはこれだけの変化が見られる。それらを画像解析し統計的に判断することで、その人間の物欲の増加を数値化しアイテムのポップ率をコントロールしているのだ。」
『つまり、これらの変化が多く見られる程、物欲が高まっていると判断され、レアアイテムが本来の確率より大幅に出にくくなるというわけですか。』
「そういうことだ。君が欲にまみれたゲスな顔をすればするほど、欲しいアイテムは出ないということだ。」

なんてことだ。物欲全開のときの自分の顔なんて気にしたことがなかったが、そういえばMHをやる父を見て子供が怯えて泣いたことがあったかもしれない。急に自分が恥ずかしくなった私は誤魔化すかのように反論した。

『し、しかしですね。それでしたら、たとえばマスクしたりサングラスしてやってた場合はどうなるんです?デジカメのスマイルシャッターもそういうのは笑顔判定が出来ないと聞いたことがありますが、「物欲顔」は判定可能なんですか?』
「ま、無理じゃろうな。」
拍子抜けするほどあっさりと教授は認めた。

「それ以外にも、周りが暗くて表情が不明瞭だったり、カメラから顔を背けていたり、下を向いたりしていたら判断は不可能だ。デジカメとは違い、必ずしも被写体がカメラの方を見ているわけではないのだからな」
『それでは、今回の物欲センサは穴だらけじゃないですか。』
「カメラだけだったらな。」
教授は再び椅子に腰掛け、子供のように足をブラブラさせながらつぶやいた。

『・・・そういえば、先ほど「第一のセンサ」という仰り方をなさってましたね。ってことは、他にもセンサが仕掛けられているということですか?』
「ま、そういうことだ。」
『それは一体どこなんです?』
「どこだと思うね?子連れ君。君になら分かるのではないかと思うがね。」
出来の悪い生徒を諭すかのように、教授は逆に問いかけてきた。

『いえ。残念ですが全く思いつきません。』
「では、ヒントだ。物欲センサとは人間の物欲が頂点に達したときの人体の変化を捉えるものだ。前作までの「脳波の増減」しかり、今回の「表情の変化」しかり。他に人体の変化としては何が考えられる?」
『・・・そうですね。緊張したときのように体温の上昇、心拍の乱れなんかでしょうか?』
「GOOD!」
教授は指を鳴らした。・・・つもりらしい。音は鳴っていなかったが。
「さすがだな子連れ君。じゃあ、次にそれらを計測するにはどうしたら良いと思うね?」

体温なら体温計、心拍なら・・・
そうか、教授が私にならあるいは分かるといったのはそういうことか。
『分かりました!タッチパネルですね。あの下画面のタッチパネルを指で触ることで体温及び心拍を計測しているんですね!?』
私の趣味の一つはランニングであるが、運動の負荷を把握するために腕時計型の接触式の心拍計というものを持っていた。指で触るだけで心拍数が計測できるという優れものだ。DSの下画面のタッチパネル。MHの狩猟中に限っては、あれは確かにペンでなく指で触ることが多いはず。そこに目を付けたということか!
「そのとおり。あのパネルにより、体温及び心拍の変化をモニタしているのだ。つまり物欲に比例して体温・心拍の上昇が認められれば、反比例してそのアイテムのポップ率が下がるというわけだ。」

『しかしですね、物欲を判定するためには、剥ぎ取りや報酬のタイミングで体温や心拍数を計測する必要があると思うのですが、そう都合良くそのタイミングで計測できるのでしょうか?むしろあの下画面は触らないことの方が多いと思うのですが。』
「ところが、例外なくほぼ全てのハンターが狩猟完了の直後、即ち、剥ぎ取り直前の物欲が急上昇するあのタイミングで、タッチパネルを触らざるを得ない恐ろしい仕掛けがなされているのだ。」
『え?』
「思い出して見ろ。狩猟の直後、君は必ずタッチパネルを触っているはずだ。」
・・・狩猟の直後?狩猟の直後と言えば、敵が倒れて・・・はっ!
『そうかっ!スキップ!スキップボタンですね。』
「そうだ。これまではスタートボタンなどで出来ていたスキップ操作が、なぜ、今作は強制的にタッチパネル操作になったと思うね。全てはユーザの指をタッチパネルに触らせるためだ。」
『・・・私、最初の頃スキップの仕方が分からなくて、今作はスキップ出来ないクソ仕様なのかと舌打ちしながら敵がゆっくりと倒れるモーションを眺めていたんです。でも、思えば確かにあの頃は良い欲しいアイテムを比較的引いていたような気がします。』
「無知ゆえに幸せだったということだな」

なんていうことだ。カメラによる表情解析に、タッチパネルによる体温・心拍計測。さらにはユーザーの心理的陥穽をついた巧妙な操作誘導。この2重、3重にも張り巡らされた巧妙な罠により、ユーザの欲望を絡め取るのが今回の物欲センサというわけか。
さすがに10作目ともなると恐ろしい進化を遂げたものだ。


しかし・・・・


「なんか言いたそうな顔をしているね?子連れ君」
『いや。その。』
そう。そうなのだ。確かに恐ろしい仕様に仕上がっている今回の物欲センサだが・・

「言いたいことがあるならハッキリ言いたまえ。」
『では、言わせてもらいますが、カメラについては先ほど述べた通りカメラに表情さえ映されなければいくらでも抜けられる。タッチパネルにしても、ペンを使ったり手袋をしたり、そもそもSKIPを押さなければ効果がない。はっきりいって今回の物欲センサは、知らなければ非常に恐ろしい相手ですが、知ってさえいれば何とでも対策が打てるという中途半端な代物に感じられます。前作までのち○こがひっくりかえるような絶望感はどこに行ってしまったのでしょうか?』

教授はニヤリと笑った。
「君もとことんMだね。相手がぬるいと物足りないのかね?」
『い、いえ。そういうわけではないのですが・・』
「いいだろう。言うまいと思っておったが、君には真実を告げよう。」

教授は顔に浮かべていた笑みを消すと、いつになく真剣な眼差しで私を見つめた。

「いいかね。これから言うことは決して他言せず、君の胸に納めておいてくれ。世間に広まったらパニックとなり、世界が滅ぶ可能性すらあることだ。」
『た、たかがゲームの話ですよね?』
「・・・・」
教授の目つきに背筋が寒くなった。もしかして開いてはいけないパンドラの箱を開きつつあるのだろうか?後悔の念がじわじわと沸いてきたが、好奇心の方が勝っていた。

「まず、そもそも物欲センサが何のために存在していたのかを思い出してもらおう。」
『ええと、確か欲しがっているアイテムを引かせないことでユーザの充足感を満たさないようにし、プレイ時間を長引かせる。すなわち延命させるためですよね。』
「そう。しかし、それはオンライン課金制というシステムにおいてはじめて意味をなすことなのだ。」
『そ、そういえば、そうですね。』
「MH3までの物欲センサには意味があった。しかし、PSPなどの携帯ゲーム機に戦場を移し、オンラインが無料となった今、無駄に延命する事になんの意味がある?」
これまで深く考えていなかったが、確かにその通りだった。

「もちろん、ゲームバランスというものがあり、簡単にアイテムが手に入ってしまうようでは、ゲームとしての面白味を損なう。人間には収集欲という本能があるため、ある程度苦労して達成したときの喜びこそが快楽に繋がるからだ。」
『おっしゃるとおりですね。』
「そう。だから本来、収集欲を満たすくらいの「ある程度の苦労」で良かったのだ。物欲センサで苦行といえるほどの苦労を強いる必要性は、携帯ゲーム機である以上なかったのだ。むしろゆとり世代のユーザが増える分、必要以上の労苦は逆効果でさえある。」
『で、では、なぜ携帯ゲーム機となったMHP3で物欲センサがあれほど猛威を奮っていたのでしょうか?』
「慢心ゆえに気がつかなかったということだな。当然それは販売本数に如実に現れた。MHP3では480万本だった販売本数が、物欲センサの過剰な作動による影響で、次のMH3Gでは180万本にまで落ち込んでいる。」
『それに気がついたカプンコが、MH4では物欲センサをゆるくしてV字回復を図ったということなんですか?』
「それもある。それも当然あるが・・・」

室内は暖かかったはずだが、教授は小刻みに震えていた。心なしか私も寒気を覚えた。
「君は、カプンコの真の恐ろしさがまだ分かっていない。」
『どういうことでしょうか?』
「彼らの真の狙いは、その先にある。人間というのは一度浸かったぬるま湯からは決して抜け出せない生き物だ。欲というのは一度満たされてしまうと、それに慣れてしまい、以降満たさずにはいられなくなる麻薬のようなものなのだ」
『確かに、金持ちが貧乏に転げ落ちても一度味わった生活レベルを落とせず借金を重ねてでもそれを維持してしまうという話を聞いたことがあります。』
「彼らの真の狙いはそこにある。今作MH4は種撒きなのだ。物欲センサに意図的に穴を設け、比較的簡単に物欲が満たされる状態にユーザを慣れさせ、満たされることが当然と錯覚させる。そして・・・」
『そして?』
無意識に唾をゴクリと飲み込んでいた。

「次作MH5では恐怖のアイテム課金制を行う。そして待っているのは、技術の粋を極めた鬼のような物欲センサ。物欲を満たすことに慣れきり、労苦・我慢が出来なくなったユーザに残された道は、もはや金を払ってレアアイテムを購入することしかないということだ。」
『ま、まさな。そんなバカな。あり得ません。』
「なぜかね?君は世の流れというものをちゃんと理解しているかね?今やゲーム業界の売り上げの大半はスマホゲームによるアイテム課金が占めているのだよ?生き残るためにはアイテム課金は必然とも言える。」
『そんな。いや、しかし。』
「彼らの恐ろしさは、それをユーザ数が数百万人の国民的ゲーム「モンハン」でやるというところだ。しかもご丁寧に、MH4でユーザの物欲抑制機能をブッ壊しておくという下準備をした上でだ。」
『ど、どうなってしまうんでしょうか?次のMHは。』
「例えば、あるモンスターの紅玉があったとしよう。まともにやった場合、尻尾剥ぎ取りのみでポップ率1%。物欲センサ発動時にはポップ率0.1%まで低下。リタマラで尻尾1000回切り落としてようやく手に入るだろうレアものだ。それが100円で売られていたら、君ならどうする?」
『・・・・大人買いで10個買っちゃいます。』
「ふむ。1000円は出してしまうということだな。では、もしモンスターの種類が20種類として、全種その流れで購入してしまったら、2万円くらいは出してしまうということかな。」
『リタマラの・・・リタマラの労苦を考えたら、時給換算したらむしろ安いもんだろうと2万くらいは出してしまう気がします。』
「君のようなハンターが400万人いるのだ。これで都合800億の売り上げだ。しかも単なるデータなので原価ゼロ、ほぼ全てが準利益だ。その上、玉だけでなく牙だの粉だのといくらでもレアの種類は増やせる。」
『そ、そんな・・・』
「そうなれば日本にとどまらず世界経済のバランスすら壊しかねん。物価が上昇し失業者が溢れ・・・世界が滅びかねないというのもあながち大げさではないということが、理解してもらえたかな。」
『・・・・・はい。』

私の心に絶望感が重くのしかかっていた。これまで散々苦しめられながらも、どこか好敵手ともいえる友情を感じずにはいられなかった物欲センサ。しかし、その友情は裏切られ、単なる営利目的の道具に成り下がってしまったとは。そして、その向かう先は世界の崩壊。そうと知りながらも私はモンハンをやめることは出来ないだろう。
しかしまだ希望はあった。我々ハンターが強い意志を持ち、物欲に打ち勝つことができれば、世界の崩壊は防ぐことが出来るだろう。そう人の心はそんなに弱くない。皆が心を一つにし、立ち向かうことが出来ればきっと我々の愛した物欲センサが帰ってくるはず。
私はそのために戦おう。拳を強く握りしめ、決意を胸に私は立ち上がった。

『ありがとうございました、教授。私のこれからやるべきことが見えてきました。必ずや世界は私が救ってみせます。』
「はぁ?」
教授は驚いたような目で私を見て、言葉を選んでいるようだった。

「えーと、いや、その。もしかして信じた?本当に?いやいやすまん。・・・だって君好きだろう?世界の危機とかこういう中二くさいの?センサの話だけじゃ物足りなそうな感じだったから軽い冗談のつもりで言ってみたんじゃが・・・君も分かっていてノってたんじゃないのか?」

私は痴呆のように口を開け、ただただ教授を見つめていた。

「おいおい・・たかがゲームでそんなんなるわけないじゃろ?脳味噌大丈夫か?いやはや、まさか本気にするとは。
・・・怖いな、早く帰らんかな(ぼそっ)」

希望に満ちていた私の全身を圧倒的な絶望感が襲い・・・ち○こがひっくり返った。

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テーマ:MH4 - ジャンル:オンラインゲーム

  1. 2013/11/25(月) 00:42:08|
  2. MH4
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

今回はレアといわれる素材が出やすく感じますね〜( ›◡ु‹ )
あ、おはようございます!
最近は中々タイミング合わなくてオトモ出来てませんが
私もまだまだ欲しい素材がありますので、黒龍とかティガ希少種とか尼寺さんとかラージャンとか是非オトモしてくださいw
  1. 2013/11/25(月) 10:43:06 |
  2. URL |
  3. Sophi★ #-
  4. [ 編集]

今回アイテムが出やすく感じるのは、これまでのツライ修行で我慢強い子になったためですかね?
むしろ苦労しないであっさり出ちゃうとガッカリします。既に末期症状でしょうか。
あ、こんばんは。
最近ようやくHR70となり随分縮んじゃった黒竜ちゃんにも会えました。素材が欲しいので、ぜひ寄生させて下さい。
あ、激おこラージャンはすっかりトラウマなのでパスの方向でw
  1. 2013/11/27(水) 20:55:29 |
  2. URL |
  3. 子連れ #-
  4. [ 編集]

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